8x8x8 LEDキューブを説明書なしで作る(組み立て編)~Amazonの約3,000円キット、はんだ付け1,000箇所・8時間半の記録~

Amazonで3,000円ほどで売られている、8×8×8のLEDキューブキットを作りました。LEDは512個、はんだ付けはおよそ1,000箇所。組み立てにかかった時間は、合計で8時間30分です。

このキットには説明書も回路図もありません。部品と材料が袋に入って届く、ただそれだけです。

それでも作る価値があるのは、出来上がりが本当にきれいで、とにかく人の目を引くからです。イベントに出展したとき机に置いておくと、小学生や中学生が「これやりたい」と声をかけてきます。

この記事は組み立て編です。先に白状しておくと、完成して電源を入れても、うまく点灯しませんでした。原因を探った記録は、記事の後半に書きました。

完成した8x8x8 LEDキューブの全体

このキットについて:説明書も回路図もない

購入価格は2,986円(2026年2月)です。袋の中には、次の部品が入っていました。

  • LED 512個
  • 基板
  • マイコン(STC12C5A60S2)
  • トランジスタアレイ(ULN2803APG)
  • ラッチ(SN74HC573N)
  • ICソケット
  • 抵抗アレイ
  • 電解コンデンサ
  • スイッチ
  • メスのピンヘッダー
  • 被覆導線
  • 電源用のUSBケーブル

以前、これより一回り大きい8×8×8のキューブを作ったことがあります。そのときは8時間かかりました。今回はサイズが小さいぶん作業が細かく、しかも説明書がありません。結果は、前回より30分長い8時間30分でした。

工程ごとの内訳は次のとおりです。

工程時間
LEDの足曲げ95分
LEDのはんだ付け235分
点灯チェック・手直し20分
ICソケットのはんだ付け20分
ピンヘッダー(メス)の準備10分
パーツ類のはんだ付け20分
ピンヘッダー(メス)のはんだ付け20分
組み立て90分
合計510分(8時間30分)

足を曲げてはんだ付けするまでの、LEDの準備だけで5時間半。全体の3分の2がここに消えます。

8x8x8 LEDキューブキットに入っていた部品一式

用意する道具

  • はんだごて、はんだ
  • ラジオペンチ、ニッパー
  • テスター
  • LEDチェッカー(なければ電池と抵抗で代用できます)
  • 治具用のMDF板、ドリル、画鋲

手順1:治具(ジグ)を作る

LEDを等間隔に並べるために、治具を作りました。といっても、百均で売っているMDF板にドリルで穴を開けただけのものです。この治具は私の発案ではありません。ネットで調べていて、同じことをやっている人を見つけたので真似しました。

穴の位置の決め方は、私が考えた方法です。付属の基板を板に当てて、画鋲で印をつけていきます。

治具がなくても作れないことはないのかもしれません。それでも、治具を作るかどうかで仕上がりは大きく変わります。ぜひ挑戦してみてください。

MDF板にドリルで穴を開けて作ったLED配置用の治具

手順2:LEDの足を曲げる(95分)

LEDには極性があります。足の長いほうがプラス(アノード)、短いほうがマイナス(カソード)です。ここを間違えると点灯しないので、1個ずつ確かめながら進めます。

まず治具にLEDを並べ、プラスの足を90度曲げます。次に、マイナスの足をプラスと直角の方向に90度曲げます。LEDはキットを正面から見たときにきれいに見える向きにそろえます。

このとき、マイナスの足は少し浮かせて曲げます。プラスとマイナスが触れて短絡(ショート)するのを防ぐためです。ラジオペンチを使い、LED本体から少し離れた位置で曲げます。

この「少し」の加減が難しいところです。曲げる位置が遠すぎると、キューブ全体の形が崩れます。逆に近すぎると、はんだ付けしたときにプラスとマイナスが短絡してしまいます。ここの精度が低いと、後のはんだ付けや組み立てで全体が歪みます。

曲げるだけで95分。これだけでもう一仕事です。

プラスとマイナスの足を2方向に曲げたLED
治具の穴に並べたLED

手順3:1層64個×8層=512個をはんだ付けする(235分)

8個ずつ1列にしながらはんだ付けしていき、8×8=64個で1枚の層を作ります。これを8層分、合計512個です。

はんだ付けは、まず一番下の列のマイナスから始めます。続いて2列目を並べ、プラスをはんだ付けし、マイナスをはんだ付けする。これを繰り返します。

今回は、プラスの足を配線するときに、LED本体の上を通り、すでに並べてあるLEDのプラスの足の下をくぐらせています。編み物のように通していくイメージです。この配線に一番時間がかかります。

注意すべきは、やはり短絡です。プラスの足にはんだを乗せると、それだけでマイナスの足との距離が縮まります。足の組み方や位置によって調整の仕方も変わるので、1箇所ずつ確かめながら進めました。

LED1個につきはんだ付けは2箇所。512個で、ざっと1,000箇所になります。真面目にやれば、はんだの腕は確実に上がります。

LEDのプラスの足を編むように通してはんだ付けした配線のアップ
はんだ付けを終えたLED64個の1層

手順4:治具から抜いて点灯を確認する(20分)

治具からLEDを抜くときにも注意が必要です。穴の大きさがLEDとぴったりだと、しっかりはまって抜けにくくなります。ただ、はまっていないと並べたときにぶれるので、きつめなのは良いことなのです。

問題は抜き方です。無理に引き抜くと足が曲がり、平らな板状であるべき層が歪んでしまいます。ラジオペンチなどを使って、まっすぐ垂直に抜きます。

抜いたら、まず目視で短絡がないかを確認します。ただ、外観で電気が通っているかをある程度判断できても、それで100%とは言えません。そこで実際に電気を流して、1個ずつ点灯するかを確かめます。

私はLEDチェッカーを持っているので、それを使いました。持っていなければ電池と抵抗で代用できます。ただし、抵抗値をきちんと計算して選ばないと、LEDが点かなかったり、逆に壊してしまったりするので注意してください。

今回、私のはんだ外れが2箇所見つかりました。ここを手直しして、次に進みます。

LEDチェッカーで層のLEDの点灯を確認しているところ

手順5:基板を組み立てる(70分)

ここから基板の作業です。LEDの作業と順番が前後しても問題ありません。

ピンヘッダーをばらす(10分)

付属のメスのピンヘッダーから、ニッパーでプラスチック部分を外し、金属部分だけを取り出します。これは後で、LEDの層と基板をつなぐときに使います。

このおかげで、LEDと基板の接続がとても簡単になります。安いキットですが、この工夫は大いに参考にしたいところです。

プラスチック部分を外す前と後のメスのピンヘッダー

ICソケットをはんだ付けする(20分)

ICを直接はんだ付けせず、ソケットを使う構成になっています。マイコンやラッチ、トランジスタアレイが壊れたときに、簡単に差し替えられるようにする配慮です。これも見習いたい点です。

注意点は、ソケットの切り欠きの向きを、基板に印刷された印に合わせることです。向きを間違えてもすぐに使えなくなるわけではありません。ただ、後で間違いの元になります。特に説明書のないキットでは、素直に基板の印刷に従うのが確実です。

ソケットの足は細く熱容量が小さいので、はんだ付け自体は簡単です。

基板の印刷に切り欠きの向きを合わせてはんだ付けしたICソケット

残りのパーツをはんだ付けする(20分)

特に気をつけたいのは、抵抗アレイと電解コンデンサです。

抵抗アレイには、1番ピン(コモン)に印(下写真のAの左横○)がついています。基板側も1番ピンだけ銅箔の形が違う(下写真J1の部分、□になっている)ので、それを目印に向きを合わせます。

電解コンデンサには極性があります。基板にプラスとマイナスが書いてあり、コンデンサ本体にもマイナス側の表示があります。足の長いほうがプラスであることからも判断できます。

わかりにくいのはスイッチです。結論から言えば、穴に足が入る向きではんだ付けすれば問題ありません。それでも心配だったので、テスターで押したときの導通を確認しました。

電気は目に見えません。見えないところは、一つずつ確かめる。

思い切りが必要な場面もあります。でも、わからないまま進めると、たいてい後で手戻りが発生します。品質にも響きますし、何より自分が面倒です。

抵抗アレイの1番ピンの印と、基板の1番ピンだけ四角い銅箔(J1)

ピンヘッダーを立ててはんだ付けする(20分)

先ほどばらしたピンヘッダーを、基板に立ててはんだ付けします。

ここは普通のはんだ付けと少し違い、差し込む側からこてで温めて、はんだを流し込みます。何度もはんだ付けをする中でつかんだ、簡単にきれいに仕上がる方法です。

十分に熱すると、はんだの粘度が下がり、ピンヘッダーが穴の中にストンと落ちて、まっすぐ立ちやすくなります。はんだが少ないと、ピンがこて先にくっついて外れたり、斜めになったりしがちです。はんだを多めにすると、基板とピンが表面張力で吸い付くように密着し、こて先から離れやすくなります。

斜めになってしまったときは、先の尖ったものを当てて、加熱しながらまっすぐに起こします。私は手元にあったジャンパーピンを使いました。あまり斜めだと、後でLEDの足が入りにくくなります。

基板にまっすぐ立ててはんだ付けしたピンヘッダーの列

手順6:8層を立ててキューブにする(90分)

ここまで来たらあと少しです。

ピンヘッダーがプラス側なので、LEDの層のプラスの足を差し込んでいきます。8本を一度に差し込むのは難しいので、ラジオペンチを使って1本ずつ入れます。8本すべて入ったら奥まで押し込み、はんだ付けします。これを8層分繰り返します。

8層が立つと、立方体の形が見えてきます。

基板に8層のLEDを立てた直後のキューブ

次にマイナス側をつなぎます。各層のマイナスを、プラスと直角の方向に接続していきます。

電気的には、片側の面の端、8×8の64箇所をつなげば十分です。ただ私は、形を保つため、強度を上げるため、そして抵抗値を下げるために、反対側の端もはんだ付けしました。

このときは治具を使っていないので、層の間隔がかなりばらつきます。間隔をそろえながらはんだ付けすると、出来上がりがきれいになります。マイナス側まで接続すると強度もぐっと上がり、立方体の形が崩れる心配はなくなります。

マイナス側の足を接続し終えたLEDキューブ

下から1層目、2層目と呼ぶことにします。各層のマイナスを基板とつなぐ配線には、被覆導線を使います。裸線やすずめっき線を使うと、揺れたときに短絡して、うまく点灯しなくなるからです。

被覆導線はキットに付属していますが、足りませんでした。激安キットならではの割り切りでしょう。手持ちの線を使うか、壊れた電子機器から取ってもいいですし、ホームセンターなら数百円で買えます。

裏技として、100円ショップのUSBケーブルを使う方法もあります。端子部分を切り落とし、中の電線を抜き出して使います。

LEDキューブの各層と基板を被覆導線でつないだところ

手順7:ICを差し込む

最後にICをソケットに差し込みます。

新品のICは、足がソケットの幅より少し外側に広がっています。そのまま真上から押し込むと、足が曲がるか、そもそも入りません。

コツは、まず片側の足を斜めに当てて少し内側に曲げるように力をかけ、そのまま反対側の足を差し込むことです。

ICを斜めに当ててソケットに差し込むところ

電源を入れたが、点灯しない

付属のUSBケーブルで電源につなぎ、スイッチを入れました。

……うまく点灯しません。

まず疑ったのは短絡です。プラスとマイナスの間の電圧を測り、電源を外して導通を一つずつ当たっていきました。すると、導通のない箇所が1つ見つかりました。はんだが外れていたので手直ししましたが、それでも点きません。

次にLEDの端子間の電圧を測ったところ、2.1V程度しかかかっていませんでした。青色LEDが光り始めるにはもう少し高い電圧が必要なので、どこかがおかしいはずです。

ここから、原因の切り分けに入りました。

テスターでLEDキューブのLEDの端子間電圧を測っているところ

その後:切り分けてみたが、直らなかった

結論から書きます。点灯不良は直りませんでした。残る原因はマイコンで、プログラムの不良を疑っています。

ここまでに試したことを、順に記録しておきます。

ICの端子電圧を測る

マイコン、ラッチ、トランジスタアレイの3種類のICについて、端子の電圧をテスターで測りました。

測定箇所結果
水晶発振子の端子約2V
マイコンからラッチへの出力0〜3.5V(ラッチの入力側でも同じ値)
ラッチの出力(※)0〜約-3Vでばらばら
トランジスタアレイの入力0〜約3Vでばらばら
※ラッチの出力は、テスターの黒いリードをGNDではなく、層側の抵抗(トランジスタアレイの出力側)に当てて測った値です。

マイコンから出た信号は、ラッチまでは届いています。

ただ、LEDキューブは、層と列を高速で切り替えながら点灯させる仕組み(ダイナミック点灯)です。信号は常に変化しています。テスターに表示されるのは平均に近い値なので、「ばらばら」という値が正常な動きなのか異常なのかは、テスターだけでは判断しきれませんでした。

リセット回路と発振回路には電圧が出ていました。テスターで確かめられる範囲では、問題はなさそうです。

層の抵抗を交換する(500Ω→47Ω)

前半で、LEDの端子間に2.1Vしかかかっていないと書きました。各層のマイナス側には共通の抵抗が入っていて、その値は500Ωです。これが大きすぎるのではないかと考え、47Ωに交換しました。

結果、LEDは明るくなりました。ただ、抵抗を小さくすれば電流が増えるのですから、明るくなるのは当然です。点灯不良そのものは直りませんでした。

【注意】抵抗値を下げると、LEDやトランジスタアレイに流れる電流が増えます。部品の定格を超えると、壊れたり発熱したりするおそれがあります。真似をする場合は、電流を計算してから抵抗値を決めてください。

マイコンのソケットに接点復活剤を使う

最後に、マイコンのICソケットに接点復活剤を使い、マイコンを差し直しました。すると一度だけ、すべてのLEDが点灯しました。

しかし、すぐにもとの不良状態に戻ってしまいました。マイコンの接触不良ではないことは確認済みです。

現時点の結論

整理すると、次のとおりです。

  • マイコンの信号はラッチまで届いている
  • リセット回路と発振回路には電圧が出ている
  • 抵抗を変えても、LEDが明るくなるだけで症状は変わらない
  • ICソケットの接触不良ではない

残る原因はマイコンで、書き込まれているプログラムの不良を疑っています。

作ってみて考えたこと

説明書のないキットでは、手がかりは基板の印刷と部品の表示だけです。だから、ICソケットの切り欠き、抵抗アレイの印、コンデンサの極性と、見えている情報には素直に従いました。そして、見えないもの(スイッチの向き、はんだの導通、LEDの電圧)は、テスターで一つずつ確かめました。

それでも、はんだ外れは出ましたし、電源を入れても点きませんでした。1,000箇所のはんだ付けを外観だけで保証することはできません。確かめる工程を省かなかったからこそ、どこまでが確かで、どこから先がまだわからないのかを切り分けられています。

クラブで電子工作に取り組むときも、同じ姿勢を大事にしたいと考えています。

よくある質問

Q. 説明書なしでも作れますか?
A. 作れます。ただし、LEDの極性、ICソケットの向き、抵抗アレイの1番ピン、電解コンデンサの極性を、自分で判断する必要があります。基板の印刷と部品の表示に従えば判断できます。

Q. 完成までにどれくらいかかりますか?
A. 私の場合は合計8時間30分でした。そのうち、LEDの足曲げとはんだ付けだけで5時間半かかっています。

Q. はんだ付けは何箇所ありますか?
A. LED1個につき2箇所なので、LEDだけでおよそ1,000箇所です。

Q. LEDのプラスとマイナスはどう見分けますか?
A. 足の長いほうがプラス(アノード)、短いほうがマイナス(カソード)です。

Q. 治具は必要ですか?
A. LEDを等間隔に並べるためにあったほうがよいです。百均のMDF板にドリルで穴を開けるだけで作れます。穴の位置は、付属の基板と画鋲を使って決めます。

Q. LEDキューブが点灯しないとき、何から確認すればよいですか?
A. 私はまず短絡とはんだ外れを疑い、目視と導通で確認しました。次に、ICの端子電圧、抵抗、ICソケットの接触を順に確認しました。

今後について

このキューブは、失敗例としてディスプレイすることにしました。ただし、解決策を思いついたら、その都度挑戦します。直ったら、この記事に追記します。