タイピングの基本(指の置き方・練習方法)

パソコンのキーボード入力は、パソコンを使う上で必須の能力です。文章を書くのに、文字を知らないとまともに書けないように、キーボード入力が十分でないと、パソコンを使うことが大変苦痛になります。

しかし、そのような重要な能力であるにも関わらず、タイピングの基本を教わる機会があまりありません。我流で覚えたまま、間違ったタイピングでパソコンを使っている人を多く見かけます。

間違ったタイピングは、単に入力が遅いだけでなく、疲れやすく、誤入力をしやすいという欠点があります。正しいタイピングをしていれば、早く正確に、そして楽にパソコンを使うことができます

ここでは、正しいタイピングをするための「キーボード入力の基本」「基本の練習方法」について詳しく説明します。

指の位置と手の位置の基本・ホームポジションを知る

パソコンのキーボード入力における指の位置は、「F」と「J」のキーが基準になります。キーボードを見ると、「F」と「J」のキーには小さな突起がついているのがわかります。

この「F」のキーに左手の人差し指を置き、「J」のキーに人差し指を置きます。そして、その他の指を自然にキーに沿わせると、下表のように指が配置されます。

  左手 右手
人差し指 「F」 「J」
中指 「D」 「K」
薬指 「S」 「L」
小指 「A」 「;」
親指 「 」(スペース)

この表で示すように、実際にキーボードの上に手を配置したのが、下の写真です。

このポジションをホームポジションと言います。パソコンのキーボード入力の基準になる手の位置です。

ホームポジションでキー入力することで、手元を見ずに早くキー入力することが可能になります。

手元を見ずに入力するキーの打ち方・練習方法

パソコン操作に慣れた人が、キーボードを見ずに素早く文字入力をしている場面を見たことがあるでしょうか。この、「手元を見ずに文字入力するテクニック」をタッチタイピング(ブラインドタッチ)と言います。

タッチタイピングするには、それぞれの指が入力を担当するキーを明確にすることが大切です。下が、各指の担当範囲を示した図です。

まず、各指がどのキーを担当するのかを覚えます。覚えると言っても、頭で記憶するというよりは、身体で慣れるという表現があっています。

自転車や車の運転と同じで、一回身体で覚えてしまえば、その後は忘れることなく一生使える技能になります

実際には、「一つのキーを打ったら、必ずホームポジションに戻る」ことを繰り返してタッチタイイングを行います。

例として、「パソコン」と入力する場面を考えてみましょう。これには、ローマ字で「PASOKON」と入力します。そのときの手順は、下表の手順にになります。

なお、入力方法は全てローマ字入力で示してあります。

  1. ホームポジションに指を置く
  2. 右手の小指を前方にずらして「P」を入力する
  3. 右手の小指をホームポジションに戻す
  4. 左手の小指で「A」を入力する(ホームポジションのまま)
  5. 左手の薬指で「S」を入力する(ホームポジションのまま)
  6. 右手の薬指を前方にずらして「O」を入力する
  7. 右手の薬指をホームポジションに戻す
  8. 右手の中指で「K」を入力する(ホームポジションのまま)
  9. 右手の薬指を前方にずらして「O」を入力する
  10. 右手の薬指をホームポジションに戻す
  11. 右手の人差指を右手前にずらして「N」を入力する
  12. 右手の人差指をホームポジションに戻す

このように、一つの動作・入力のあとには必ずホームポジションに戻ることが重要です。タッチタイピングを習得して、キーボード入力が大変早い人は、この手順を高速で繰り返しているだけです。

つまり、キーボード入力の練習の王道は、この「一つのキーを入力したらホームポジションに戻る」という手順を繰り返して、身体に覚えさせることです。

私も練習を始めた当初は、入力が遅かったです。しかし、毎日繰り返して入力しているうちに、今では1分間に日本語で200字程度は入力できます。

私が教えた生徒も、大体2ヶ月もすれば1分間に日本語で60字程度の入力速度に達しています。

キーボード配置(キー配列)の規則性はない

なお、キーボードのキー配列に規則性はありません。規則性を見出して覚えようとしても無駄なのでやめましょう。

下図は、よくあるフルキーボードの配列です。左端のTabキーから右に並んでいる文字列を取って、「QWERTY配列」と呼ばれます。

このQWERTY配列は、下の写真のような機械式のタイプライターで採用されたキー配列です。

機械式のタイプライターは、タイプするキーと紙に刻印する部分が金属の部品でつながっています。写真で縦縞に見える部分が、その部分です。

この形式だと、タイプスピードが上がると金属部品が干渉してタイプしにくくなる欠点があります。そこで、タイピング頻度が多い文字を干渉しにくい位置に配置して、欠点を補っています。

この際のタイピング頻度は、英語入力の場合の頻度です。日本語を入力する場合には、文字ごとのタイピング頻度も全く違います。キー配置の唯一の手がかりだった入力頻度も、日本語を入力する場合は役に立ちません。

キーボードのキー配置を覚えるには、頭で覚えようとするのではなく、身体に覚えさせてしまう方が習得が早いです。

指の置き方を見ないで打つのが最短の習得方法

では、「手元を見ずに文字入力するテクニック」であるタッチタイピング(ブラインドタッチ)をなるべく早く習得する方法はあるのでしょうか。

実は、早く習得するコツがあります。それは、以下を厳密に守って練習することです。

  • 1回の入力ごとに、必ずホームポジションに戻ること
  • 手元のキーボードを見ないこと。

この2つの約束を守って練習すれば、タッチタイピングをマスターする時間は極めて短くなります。

特に大切なのは、「手元を見ないこと」です。

キー配置を覚えていない状況では、すぐに手元を見てしまいがちです。しかし、キーボードを見たい気持ちを抑えて、手探りで正しいキーを見つけ出してください。そうすることがタッチタイピングを早く覚えるのに重要です。

以上のような、タイピングの基礎・基本を理解することで、正しいタイピングを身につけることが可能になります。