SEになろうプロジェクト第2弾 ~小中学生が、太子町から依頼された“本物の課題”に挑んだ記録~

光都ICTクラブでは、ふだんの活動で身につけたプログラミングの技術を「実際の課題解決」に使ってみる取り組みとして、「SEになろうプロジェクト(SEPJ)」を実施しています。プログラミング言語の文法を覚えることがゴールではありません。現実の課題を、どう分解し、どう仕様に落とし込み、どう形にしていくか――まさに「SE(システムエンジニア)」の仕事そのものを、メンバーに体感してもらうプロジェクトです。

第2弾のお題は、太子町社会教育課からいただいた「レクリエーションゲーム『ぼうじぃ陣取りゲーム』のデジタル化」。2025年12月から2026年3月まで、全4回にわたって取り組んだ様子をまとめてご紹介します。

第1回(2025年12月13日)~まずは「やってみる」と「言葉にする」~

いきなりプログラミングから始める、ということはしません。9人のメンバーを3班に分け、まずは実際に「ぼうじぃ陣取りゲーム」をプレイしました。説明書には書かれていない細かいルールやプレイ感を、自分たちの言葉で書き出していきます。

この「言語化する」工程こそ、プログラミングにおいて欠かせない力です。要求がきちんと言葉にできていれば、コーディングは半分終わったようなもの。そのうえで、要求定義・要件定義の一部を生成AIの力を借りながらまとめ、基本設計を行いました。

第2回(2026年1月10日)~AIが作った一発目は「クソゲー」だった~

第1回でまとめた仕様をもとに、生成AIにゲームを作らせてみたところ――メンバーから飛び出したのは「クソゲーだ!!」という率直な声でした。

ここで終わらせないのが、SEPJらしいところです。「なぜクソゲーだと感じるのか」を一つひとつ言語化し、問題点・改良点を洗い出していきます。

さらに、すべてを一度に直すのではなく「ゲームとして成立するために絶対必要な機能」から優先順位をつけて手を入れる、というエンジニアリングの考え方(VE:バリュー・エンジニアリング)も実践しました。直すべきコードのファイルを、人間の目で絞り込んでいく作業も行いました。

第3回(2026年2月14日)~AIと一緒に作る難しさと、お客様からの厳しい声~

私が手を入れたことで、ゲームは「きちんと動く」状態に。この回からは、それまで参加できていなかったメンバーが新たに加わりました。実際のフィールドゲームを知らない“初見プレイヤー”として遊んでもらうことで、公開後に触れるであろうユーザーに近い視点でのフィードバックを得ることができました。

操作役とAIへの指示(プロンプト)役に分かれ、交代しながら修正を進める「バイブコーディング」にも挑戦。指示をどれだけ的確にしても、AIとの解釈のズレは必ず生まれること、そしてロジックとしては正しくても「ゲームとして面白いか」はまったく別問題であることを、身をもって体験しました。

さらにこの日は、今回のテーマをくださった"お客様"も来場し、率直で厳しいご意見をいただきました。依頼主から直接フィードバックを受け取るという、これもまた貴重な経験になりました

第4回(2026年3月14日)~「ぼうじぃ陣取りゲーム」ほぼ完成~

最終回は、見た目や操作性など細部のブラッシュアップ。最終形について太子町社会教育課の方と打ち合わせを行い、いただいた要望も反映していきました。

進め方はメンバーが一人ずつ操作し、ほかのメンバーが意見を出し合うスタイル。AIへの指示は、将棋の大盤解説さながらに、私がリアルタイムで「いま何が起きているか」を解説しながら進めます。画像を扱うコードも多く登場し、ディレクトリ構造やファイルの参照の仕組みを学ぶ良い機会にもなりました。

全4回を経て、ゲームはほぼ完成。細部を仕上げて公開に向かいます。

このプロジェクトでしか得られないもの

ゲームは完成し、兵庫県太子町のホームページにて公開されています。以下は、太子町の当該ページです。どなたでも無料で遊べます。

「SEになろうプロジェクト」で子どもたちが経験したのは、教科書通りに進む課題ではありません。

  • 自分たちの言葉で要求をまとめる
  • AIに作らせた一発目の出来に向き合い、問題点を洗い出す
  • 限られた時間の中で、何から直すべきか優先順位をつける
  • AIと人間の意図のズレ、「ロジックは正しいのに面白くない」というジレンマに直面する
  • 実際の依頼主から、厳しくも本物のフィードバックを受け取る

これらはすべて、「プログラミングが書ける」だけでは経験できないことです。コードの書き方を教える教室は数多くありますが、地域から本物の依頼を受け、要求定義から納品まで子どもたち自身が伴走する――こうした実践の機会を継続的に提供しているクラブは、決して多くありません。

光都ICTクラブが大切にしているのは、「技術を覚える」ことの先にある、「技術で課題を解決する力」です。これは、これからの社会でますます求められる力だと考えています。

こうした実践的な学びに挑戦してみませんか?

光都ICTクラブでは、随時メンバーを募集しています。体験参加も受け付けていますので、ご興味のある方はフォームからお気軽にお問い合わせください。

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